Case Study

ERP導入事例:Angelus Japan 様

複雑な売上原価のリアルタイム可視化を実現し
データに基づく迅速な経営判断と法令対応を両立

歯科材料・機器の輸入販売から往診用ユニットの製造まで手掛けるAngelus Japan株式会社(以下、Angelus Japan)は、事業成長に伴う原価把握の複雑化やシステム間の分断を解消すべく、MicrosoftのERPパッケージ「Dynamics 365 Business Central」を導入しました。

導入後、シャロンの支援のもと、実務に即した再構築を行うことで、複雑な売上原価や利益の可視化、Power Appsによる現場の効率化を実現。法規制への柔軟な対応と、データに基づく迅速な経営判断を可能にしています。

導入企業Angelus Japan株式会社
Webhttps://angelus-japan.co.jp
住所大阪府茨木市下穂積4丁目13番206
企業概要ブラジルの歯科材料メーカーであるAngelus社製品の輸入、販売を主に手がける医療機器商社として、2018年に設立。

現在は輸入業に留まらず、海外から仕入れた製品の検品・パッキング、日本国内の法規制に準拠した手続きなど、全国の歯科医院や医療機関向けに付加価値を提供しています。

導入前の課題
  • 会計と販売のシステムが連動しておらず、仕入、出荷、会計に至るビジネスプロセスを一括管理できなかった

  • 多通貨による仕入れや為替変動に対し、販売時の正確な原価や利益をリアルタイムに把握する術がなかった
  • 当初導入したERPが実務に即したセットアップになっておらず、「数字が見えない」状況が続いていた

導入効果
  • Power BIとの連携により、利益や在庫状況、地域別シェアが可視化され、経営判断のスピードが劇的に向上

  • 複雑な原価計算のロジックをBC内で適正化し、精緻なコスト管理と利益分析が可能になった

  • 業務の自動化(入金消込・CTI連携等)により、現場の作業負荷が軽減された

  • 属人化していた購買の意思決定を過去データに基づきルール化。発注遅れによるリードタイムのロスを削減

Angelus Japan株式会社 CEO / 代表取締役 山本裕馬氏

歯科医療のデジタル化を見据え、変化に柔軟に対応できる経営基盤が必要

2018年に設立された同社は、ブラジルの歯科材料メーカー「Angelus社」の製品の輸入、販売を主に手がける医療機器商社です。

同社のビジネスの柱は、歯科材料の輸入販売と、往診用ポータブルユニットの製造・販売であり、同社 CEO / 代表取締役 山本裕馬氏は、「全国に約7万件ある歯科医院様や、そこに出入りする卸売業者様が主なお客様です。また、高齢化社会に伴うニーズの高まりを受け、介護施設などへ持ち込める歯科往診用の機械を自社で製造し、大きな医療機関や商社を通じて全国へお届けしています」と話します。

同社は大阪の拠点を中心に少数精鋭の体制で全国展開を加速させていますが、その背景にあるのは、歯科業界におけるデジタル化の波を捉えた戦略的な取り組みです。

「他の分野と同様に、歯科業界でもデジタル化が急速に進んでいます。例えば、従来の石膏を使った型取りではなく、口腔内スキャナーで3Dデータ化する手法が主流になりつつあります。私たちはこうした技術発展の先を見据え、常に最新の機器や材料をいち早く市場へ投入することを目指しています」(山本氏)。

山本氏は「事業の成長スピードが速いからこそ、確かな経営基盤と、変化に柔軟に対応できるシステムが必要でした」と話しました。

システム間の分断と「見えない原価」が成長の足かせに

同社は、会計と販売管理にそれぞれ市販のパッケージソフトを利用していましたが、これら2つのシステムが連動しておらず、業務プロセスが分断されていることが課題になっていました。

「特に輸入・販売において、ドルやユーロといった為替変動の影響を受ける中、買うときと売るときの原価をリアルタイムに把握することができなかったのです」(山本氏)。

また、往診用ユニットなどの製品は、数多くの部品から一つの製品を組み立てるため、精緻な部品管理と工程管理が求められます。

「既存のシステムでは、複雑な組み立て製品の原価計算や在庫管理を正確に行うには限界がありました。事業が成長する中で、経営判断に必要な数値がすぐに出てこない状況は、経営者として大きなリスクだと感じていました」(山本氏)。

こうした課題を解決すべく、同社はERPの導入を検討し始めます。

「Dynamics 365 Business Central」(以下、BC)選定の決め手となったのは、ブラジルの協力会社との連携を見据えたグローバルな実績と、日本語と英語をシームレスに切り替えられる柔軟性でした。

「話を聞いて再構築」する安心感がパートナー選定の決め手に

BCの導入を決定したものの、稼働開始後に同社は大きな壁に突き当たります。設定した会計周りや原価計算が実務と乖離しており、本来期待していた「数字の可視化」が十分に行えない状況が続いたのです。

「私たちはシステムに関しては素人です。一方で、導入当時のエンジニアの方はBCの専門家。大きなコミュニケーションの溝がありました」(山本氏)。

同社は自社のビジネスを深く理解し、共通言語で並走してくれるパートナーを探す中でシャロンに出会いました。

「最初の打ち合わせで驚いたのは、こちらの説明をすぐに理解し、的確な提案をいただけたことです。この人たちなら信頼できる、と直感しました」(山本氏)。

2025年夏、シャロンによる支援が本格的にスタート。

シャロンの担当者は同社に2日間常駐し、各部署の担当者に現状の「困りごと」についてヒアリングを実施。現場の問題点や要望をすべてリスト化しました。

「問題点に対して優先順位をつけて整理し、既存システムのベースを生かしながら、私たちの業務に合うように再構築してくれました」(山本氏)

Angelus Japan株式会社 CEO / 代表取締役 山本裕馬氏

適材適所のソリューション連携で現場の「使いやすさ」を追求

再構築プロジェクトは、BCのポテンシャルを最大限に引き出し、現場の利便性を高める周辺ソリューション活用へと広がりました。

まず着手したのは、データの可視化です。BCに蓄積されたデータを「Power BI」で分析・表示する基盤を構築しました。

「以前は月次決算を待たなければ見えなかった数字が、現在は前日までの利益や在庫状況、地域別のマーケットシェアまでほぼリアルタイムで把握できるようになりました」(山本氏)。

また、Power Appsによる出荷アプリの開発・導入も大きな成果をもたらしました。

「医療機器はロット番号を間違えて出荷すると全品回収という重大なリスクを伴います。出荷アプリにより、スマホでバーコードをスキャンするだけで正しいロット番号のピッキングと出荷処理が完結するようになりました」(山本氏)。

さらに、入金消込サービス「V-ONEクラウド」との連携により毎日の入金消込を自動化したほか、Teams電話連携(CTI連携)の導入により、電話着信時に顧客の取引履歴が画面に表示される仕組みも整えました。

「『いつものあの製品を追加注文したい』といったお問い合わせにも、即座に過去の履歴を確認して対応できるようになりました。BCという堅牢な基盤の上に、Power Appsや外部サービスを組み合わせる。この柔軟なシステム構成案こそが、私たちの求めていた形でした」(山本氏)

数字のリアルタイムな可視化によりデータドリブンな意思決定が可能に

BCの再構築が完了したことで得られた最も大きな成果は、課題であった「数字のリアルタイムな可視化」が実現したことです。

山本氏は、経営面での効果について「以前はデータの裏付けが乏しく、直感に頼らざるを得ない場面もありましたが、今は特定の製品の取り扱いを継続するかどうか、あるいは広告予算をどこに重点配分するかといった経営判断が、確かなデータに基づいて迅速に行えるようになりました」と話します。

また、医療機器商社として不可欠なコンプライアンス面でも、BC内でロット管理やトレーサビリティが完結しているため、法規制対応のための「追加の事務作業」が発生しません。

日々の業務を正しく遂行することが、そのまま法令遵守に直結する仕組みが整ったことは大きなメリットです。

現場の働き方にも目に見える変化が現れています。

「かつては目視チェックや手書きの伝票、煩雑な入金消込作業に追われていましたが、システム連携によって業務が大幅に効率化されました。今では多くの社員が定時の17時で帰れるようになりました。人手不足や高齢化が課題となる中で、システムによって業務を最適化し、最小限の人数で高い付加価値を生み出せる体制が整いつつあります」(山本氏)

さらに、属人化していた購買業務にも変化の兆しが見えています。

これまでは経営者の経験値に頼っていた発注判断も、BCに蓄積された過去のデータに基づき、担当者がルールに従って行えるようになりました。

「部品が足りなくて組み立てが止まる」といったリードタイムのロスも削減され、ビジネスの安定的な遂行に大きく寄与しています。

蓄積されたデータを「品質」へと活用していく

今後は、蓄積されたデータを活用した「品質管理の高度化」と「サービス領域の拡大」を視野に入れています。

山本氏は、医療機器メーカー・商社としてのさらなる進化について「医療機器には、市場からのポジティブ・ネガティブ双方のフィードバックが寄せられます。これらをデータ化し、特定のロットやシリアル番号と紐づけて分析することで、『どの部品に修理が集中しているか』といった傾向を正確に把握したいと考えています」と言います。

また、修理ビジネスにおけるサービス管理モジュールの活用や、サブスクリプション型ビジネスへの対応など、BCの拡張性を活かした新たなビジネスモデルへの挑戦も構想しています。

最後に、山本氏はパートナーであるシャロンへの期待を次のように話しました。

「私たちの『やりたいこと』を単に実装するだけでなく、プロの視点からその妥当性を検証し、最適な形を提案してくれます。今後も、共に成長し続けられるパートナーとして、ビジネスの成長を支援していただきたいです」(山本氏)

同社はこれからも、デジタルを武器に歯科医療業界へ新たな価値を提供し続けていきます。

Angelus Japan 様 システム構成図

Dynamics 365 Business Centralを中心にPower BI / Power Apps / Teams電話 / V-ONEクラウドを活用

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