製造業や卸売業の実務においては、現品票の発行が必要となるケースが多くあります。特にロット単位やシリアル単位で在庫を管理している場合、現物を特定する情報がないと業務が非常に煩雑になるため、現品票の発行は必須であると言えます。
これまで、当社ではBCをカスタマイズして現品票発行機能を実装することが多かったのですが、少し前のバージョンアップにより標準機能で発行できるようになりましたので本記事でご紹介したいと思います。
Dynamics 365 Business Centralとは
Dynamics 365 Business Centralは、マイクロソフトが開発した中小企業向けの多言語・多通貨対応のERPシステムです。販売管理・在庫管理・生産管理・会計・債権債務など、企業の基幹業務をクラウド上で統合的に管理することができます。また、WordやExcel、Teams、Outlookなど、他のマイクロソフトのサービスと組み合わせて業務を効率化する仕組みが多数搭載されています。
現品票の発行方法
Business Centralでは、以下の4つの場所から現品票を発行することができます。
品目マスタ
品目マスタの画面からは、GTIN(いわゆるJANコード)が印字された現品票が発行できます。
品目参照
品目参照という画面から自社品番や相手先品番が印字された現品票を発行することができます。
ロット番号情報
ロット番号情報という画面からは、品番とロット番号が印字された現品票を発行できます。業態にもよりますが、多くの場合、実務ではここから現品票を発行することになります
シリアル番号情報
シリアル番号情報という画面からは、品番とシリアル番号が印字された現品票を発行することができます。
レイアウト変更もノンカスタマイズ
上記のサンプルを見て「バーコード2つも要らんやん。」と思われた方も多いのではないでしょうか。私は思いました。しかし、心配は不要です。
Business Central標準の現品票はWordレイアウトという機能を使って開発されているため、レイアウトの変更を誰でも簡単に行うことができるのです。※残念ながら項目の追加は要カスタマイズです。
現品票の活用方法
QRコード付きの現品票はPowerAppsやBusiness Centralのモバイルアプリと組み合わせて使用することができます。これによりピッキングや在庫移動、材料消費、棚卸、出荷などの業務を自動化できます。
PowerApps
例えば、QRコードを読んでBusiness Centralに出来高を登録するやつみたいなやつ(アプリ)を作って、在庫移動や入出荷、棚卸などの処理を劇的に効率化していくことができます。
Business Central モバイルアプリ
こちらも比較的最近のアップデートで、BCのスマホアプリからもQRコード等をスキャンできるようになりました。多少コードを書く系のカスタマイズが必要にはなりますが、BCの画面をそのまま使って現品票を併用しながら入出荷等の処理を行うような機能を作ることが可能です。
まとめ
・・ということで、これまでカスタマイズ対応が必要とされてきたQRコード付き現品票の発行がBusiness Centralの標準機能で対応できるようになったことで、ノンカスタマイズでのERP導入がより現実的になってきましたね。