BCのマイナー機能を紹介していくこのシリーズ。今回のテーマは”得意先マスタを登録せずに見積を作る機能”です。

海外のコミュニティなどを見ていても、なぜかあまり知られていないような気がするのですが、BCでは得意先マスタを作成せずに見積を作ることができます。

新規企業への見積

基幹システムで見積を作成している企業において、新規のお客様に対して見積を提示する際、まだ受注できるかわからない状態で得意先マスタを登録する、という運用をしている企業は多いと思います。もしくは雑コードを作って名前だけ変更して使いまわす、みたいなパターンもあるでしょう。

別に大した問題ではないのですが、個人的には取引のない企業を基幹システムに得意先として登録するのはなんか気持ち悪いなと思ってしまいます。

かといって、雑コードを作って使いまわす、というのは内部統制上よろしくありません。この運用をするためには「伝票を入れるときに得意先の名前や住所を変更できる」という設定にしてあげる必要があり、ガバナンスが効かなくなります。極論、営業担当者の権限で請求書送付先を変更できる、みたいな状態になっちゃうからです。

そこで今回は、意外と知られていない「BCで得意先を登録せずに見積を作る」という機能についてご紹介したいと思います。

Dynamics 365 Business Centralは、マイクロソフトが開発した中小企業向けの多言語・多通貨対応のERPシステムです。販売管理・在庫管理・生産管理・会計・債権債務など、企業の基幹業務をクラウド上で統合的に管理することができます。また、WordやExcel、Teams、Outlookなど、他のマイクロソフトのサービスと組み合わせて業務を効率化する仕組みが多数搭載されています。

やりかた

得意先登録を行わずに見積を作成する方法はいたって簡単で、得意先じゃなくて連絡先を使うだけです。

得意先を指定せずに連絡先をつくる

見積を作る画面において、得意先を指定しない状態で連絡先を作成する画面を呼び出して入力するだけです。

*は必須項目ではなく推奨項目

なぜこの機能があまり使われていないかというと、BCの見積入力の画面において得意先名(Sell-to Customer Name)の横に*がついているからです。

*はBCの画面上にちょいちょい登場しますが、これは必須項目ではなくて推奨項目であることが多いです。なので、ここは空欄でも連絡先をセットしていれば実はOkなのです。(連絡先をセットすれば結果的に得意先名のフィールドに値が入りますが、これは厳密には得意先名ではなく連絡先名です)

受注したときに得意先マスタが自動作成される

見積を受注に変換するときには自動で連絡先から得意先マスタが生成されます。

したがって、「新規企業からの受注作成時には承認を必須にする」みたいなワークフローを設定しておき、それを承認するときに与信を取るという業務フローにしておくのがよいでしょう。

まとめ

・・ということで、なぜか世間ではあまり知られていない「BCで得意先を登録せずに見積を作る」という機能について解説してきました。

非常に細かい話ではありますが、内部統制やSOD (Segregation of Duty) という観点から考えてみると、このような小さな機能であっても、それを考えた人の頭の中にはいろいろな想いがあるのかなとも思ったりして興味深いですね。

それでは。

Published On: 12月 14th, 2024 / Categories: Dynamics 365 Business Central / Tags: , , , , , /

資料ダウンロード

詳細な機能紹介や各種セミナー資料を、以下のページからダウンロードいただけます。