Business Centralのマイナーな機能を紹介していくこのシリーズ。第2弾は「定型受注ライン(Standard Sales Code)」です。それほどマイナーな機能というわけではありませんが、超便利な割にはあまり使われていない機能です。BCで販売管理を行う企業においてはぜひ活用していただきたい!という思いも込めて本ブログにて紹介させていただきます。

どのような使い方ができるか

この機能は2つの使い方があります。

1つは会計システムにおける定型仕訳みたいなもので、受注明細をパターン化しておいて、適宜呼び出して受注入力を行うというような使い方です。これはある種の「セット販売」や「売れ筋の商品の組み合わせをマスタとしてと登録しておいて使いまわしたい」というようなケースにおいて便利な使い方です。受注ではなく見積機能と組み合わせることで、クロスセル推進のための簡易的なレコメンド機能としても使えそうです。

もう一つは簡易的な契約台帳として利用するという使い方です。サブスクリプション的に毎月定額の売上が発生するような場合、手作業で伝票コピーを行って売上を計上するという処理をされている企業は多いと思います。

BCのサービス管理モジュールには「サービス契約」という機能があり、いわゆる契約台帳の管理や、前受請求月次売上計上などの処理を行うことができるのですが、Premium Userライセンスが必要となる上、若干使い方が難しくて少々敷居が高い機能です。簡易的に実現するのであれば「定型受注ライン(Standard Sales Code)」は非常に有力な選択肢です。

設定方法

BCの画面でAlt+Qを押して「定型受注ライン」と検索すると以下のような画面が表示されますが、ここから設定に入ろうとすると非常にわかりづらいです。

 

なので、得意先マスタの画面から設定していく方法がおすすめです。以下のように得意先→関連→販売→定型受注ラインとメニューをたどっていきます。

以下の画面が表示されたら、ここで”繰り返し発生する受注明細(のパターンを示す名称)”を登録していきます。以下の要領です。簡易的な契約台帳として利用する場合は開始日終了日を指定しておきます。

さらにカードをクリックし、実際の受注明細を登録します。これで設定は完了です。

使い方①:”売れ筋商品の組み合わせ”みたいな使い方

定型受注ラインを登録するときに「受注にレコードライン挿入」フィールドで”自動”や”常に尋ねる”を設定しておくことで、該当の得意先を選択して受注を登録しようとしたときには(半)自動的に該当の受注明細が自動で登録されます。これは特定の得意先から不定期に同じ内容で発注を受けるような場面で利用することができます。つまり、相手先が定量発注方式で発注をかけてくるような場合です。

以下のように、見積や受注を作成する際にパターン登録された明細を呼び出してきて利用するといった使い方ができます。

対象のプランを選べば、明細が自動セットされます。

使い方②:サブスクリプション的な売上計上

これは本当にあまり知られていない機能ですが、「定型受注ライン」と組み合わせて利用することができる機能として「定型売上請求作成」(Create Recurring Sales Invoice)というものがあります。

この処理を行うことで、「定型受注ライン」が登録されている得意先に対する売上請求(受注伝票みたいなものです)を一括で作成することができます。月額でのライセンス販売や、ある種の月額固定契約などはこの機能を使うことで一括で売上計上を行うことができます。うまく使いこなすと超便利です。

以下のように、受注日と転記日(=売上計上日)を指定して処理を回します。

条件に合致する売上伝票が一気に自動作成されました。

実は「定型発注ライン」もあります。

ここまでご紹介してきた機能の仕入バージョンである「定型発注ライン(Standard Purchase Code)」という機能もあります。でも「定型仕入請求作成」(Create Recurring Purchase Invoice)という機能はなぜか存在しないので注意が必要です。あれば便利そうですが。

まとめ

・・ということで、超便利なのですがあまり広く知られていない機能として「定型受注ライン(Standard Sales Code)」というものをご紹介させていただきました。

Dynamics 365 Business Centralという日本におけるマイナーERP(失礼)の中のマイナー機能を紹介していくという、ニッチな世界を攻めていくこのシリーズ。今回のように、便利だけれどもあまり利用されていない機能から、誰が使うのか不明な謎機能まで、BCにはさまざまなマイナー機能が存在しておりまして、気が向いたら記事をあげていきたいと思います。

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