「技術ブログ」という位置づけに沿わず、まったくテクニカルな記事ではないのですが、今日は「私はDXという言葉があまり好きではないです」という、結構どうでもよいことについて駄文を書き連ねていきたいと思います。特にだれかを批判したりとかいう意図は本当に全くないです。上の画像も全く関係ないです。念のため。

DXなのか、DXではないのかという不毛な議論

タイトルが煽っている感じになっていますが、実際にはDXという言葉が嫌いというわけではなくて「それは本当の意味でのDXなのかね?」みたいな議論にはあまり意味がないよね、ということを僭越ながら主張させていただきたい次第です。

2022年現在の日本においてはDXという言葉はバズワードになっており、ビジネス誌を始めとしたさまざまなメディアでは数多くの関連記事が公開されています。そしてその中では、多くの場合「こういうのが本来あるべきDXだよね」とか「いやいやこれはDXではなくてただのIT化でしょ」とかいう意見が展開されています。

その判断のポイントは「業務改革を伴うデジタル化」なのか「業務改革を伴わないIT化」なのかということになります。デジタル化とIT化の言葉の使い分けもよくわからないのですが、なんとなくイケているDXにはデジタルという言葉が使われ、イケていないシステム導入にはIT化という言葉が使われていることが多いようです。

私は上記の内容について異議を唱えるつもりは全くなく、業務改革を伴う/伴わないが”本来のDX”なのか”なんちゃってDX”なのかを判断するポイントである、というのは非常にわかりやすい整理だと思っています。

 

業務改革を伴わないIT化=ダメ、という風潮には賛同できない

私が疑問に思うのは本当のDX=良い、なんちゃってDX=よくない、という風潮についてです。もう少し詳しく書くと「業務改革を伴うデジタル化」=素晴らしい、という意見には賛成なのですが、「業務改革を伴わないIT化」=ダメ、という風潮については賛同できないということです。

その理由は二つあります。一つは、業務改革という言葉の意味合いが曖昧だからです。これはいわゆる程度問題です。システム導入の経験がある方であれば誰もが知っていることですが、企業におけるシステムの導入は必ず、大なり小なり何らかの業務改革を伴います。

ある会社が「AIを活用して無人のリアル店舗をオープンした」という事例と、「近所のスーパーがセルフレジを導入した」という事例があったとして、前者の事例は”本当のDX”で後者は”なんちゃってDX”のような気がするのはなぜでしょうか。

どちらも立派な業務改革であり、ITの力をつかってこれまでできなかったことができるようになった事例です。AIを使っているからDXっぽく感じるのでしょうか。でも近所のスーパーに設置されているセルフレジにもAIは組み込まれています(多分)。

では、「BIを使って報告書の作成が自動化できたから早く帰れるようになってうれしい」とか、「会計システムを導入したら支払手形に貼りつける印紙税の金額が自動計算されるようになってマジ最高」といった事例はどうでしょうか。これらは業務改革ではないのでしょうか。

 

「それってDXじゃないよね?」といわれて疲弊する現場

もう一つの理由は、というか、これが私がDXという言葉があまり好きではない本当の理由なのですが、「これは本当のDXじゃないよね?」と言われて困っている人たちがいっぱいいるのではないかと思っているからです。

自分たちが日々やっている足元の業務をシステムで効率化したいだけなのに、「いまできていることを置き換えるんじゃなくて、もっと抜本的な改革を考えろ。AIを活用してわが社もDXだ!」とか、「そろそろうちもDX人材を育成しようぜ!」みたいなことを経営層から言われ、社内DX推進チームのメンバーに抜擢されて困ってます、、というような方が日本には結構いるんじゃないかと。

このような状況においてはただ無駄な仕事が増えるだけで、結局、”やってる感”を出すために適当なコンサル会社と一緒にPoCをやって調査資料をまとめて終わり、というのがゴールになりがちです。(もし自分ならそうやってとっとと終わらせます。というか、DX人材ってなんでしょうか。)

 

シンプルに投資案件と考えれば

ではどう考えればよいか。経営者はただただシンプルに投資案件として考えればよいのでは、と私は思います。

それが本当のDXだろうが、ただのIT化だろうが、そのような議論をすることに意味はない。ただ単純にお金と時間が効果に見合うのであればやればよいし、効果に見合わないのであればやらなければよい、それが判断できないのであれば自分より偉いひとに判断してもらえばよいということです。

その意思決定においてDXなのかDXではないのか、という議論はあまり重要ではないし、ましてや第三者が評論家的立ち位置からどうのこうのいう問題ではありません。

そもそも「これは本当のDXじゃないよね」みたいなことを、バズワードに踊らされた第三者が一方的に決めつけること自体、システムの導入を成功させるために尽力してくれた(してくれようとしている)現場の方々に失礼ではないでしょうか。

もうひとつ付け加えるならば実現可能性の見極めについてです。とても乱暴な言い方になりますが、足元の業務すらIT化できていないような状態で、世間一般でいう”本当のDX”、つまり「業務改革を伴うデジタル化」を実現できるのかを真剣に見極めるべきです。IT化の度合いの話ではなくて、組織風土の話です。

 

私たちはシンプルに考えます

・・ということで、ただ何となく私がDXという言葉があまり好きではない理由を(尖り気味に)書き連ねてみました。

当社は、それがDXだろうがDXじゃなかろうがどうでもよくて、とにかく”使える”システムを短期間低コストで導入するという1点にこだわって事業を推進していく所存でございます。

 

Published On: 6月 4th, 2022 / Categories: Non-Technical / Tags: , /

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