例によって技術ブログという位置づけにまったく沿わないのですが、今回は私が思うIT業界の3大悪習の一つである「当て馬」というものについて記載してみたいと思います。

特にだれかを非難したいという意図は全くありません。

画像もまったく関係ありません。ただのきれいな富士山です。念のため。

IT業界における3大悪習

突然ですが、私が思うIT業界の3大悪習というものがありまして、それは「当て馬」「いっちょかみ」「多重下請け構造」というものなのですが、今回は”当て馬”というものについて少し考えてみたいと思います。

IT、特に業務システムの新規営業をやったことのある方であれば誰もが嫌な気持ちになったことがあるのではないでしょうか。当て馬というのは「発注したい業者が決まっているけど相見積が必要だから別のベンダーにも提案書をつくらせたろ」というやつです。いわゆる出来レースです。

IT業界に限らないのかもしれませんが、これって非常によく見聞きします。

これがIT導入の話ではなくて単なる物販なのであれば大した手間ではないのでまあいいのですが、ERPのような規模感のシステム導入を提案する場合、見積や提案書を作成するというのはそれなりに手間のかかる作業になりますし、過去の知見を結集させる必要があります。

特に課題解決型の提案を行うためには、「業務課題を紐解いて解決策を検討し、技術的に問題ないか裏どりをした後、それをわかりやすく図示し、平易な言葉に置き換えてプレゼンする」という、なかなか高度なサービスを無償で提供することになります。

仕事のための仕事

かたや、相見積がほしいだけの顧客側の視点でみると、”そんなんいらんからとっとと見積だせや”と思いながらも要件を伝えたり、質問に答えたり、プレゼンをきいたりしなければならず、提案側の立場からみても、正直気の毒だなと思うことがあります。

ちなみに当て馬にされているというのは、提案側はうっすらみんな気づいています。

それでも、別件で付き合いのある企業だから邪見にできないとか、提案書の提出件数がKPIとして設定されているから提案を進めなきゃいけないとか、役職定年を迎えた暇なおじさんアグレッシブな営業チームが強硬に提案を進めようとして・・・みたいな理由で商談を進めることになるとか、わかっていても提案しなきゃいけないこともあります。

いずれにせよ、発注側も提案する側も「仕事のための仕事」をしているのです。

いかれた倫理観

さらに、しょうもないコンサルやSIerが絡んでいると、以下のような思惑が裏に潜んでいることもあります。

  • すぐれた提案書がでてきたらそれはそれでラッキーやし、なんなら自分で考えたアイディアということにしておいて、クライアントや本命のベンダーとの交渉材料として利用しよう。
  • 稟議書を作るのに必要という理由で提案書はPDF不可でパワポで提出させて、自分たちで使いまわそう。

ここまでくるとちょっと引いてしまいますが、残念ながらそれほど珍しいことではないように思います。

提案側としては非常に悲しいというか、そんなことまでしないと社内の稟議すら通せないような立場なのかと思うと、とても気の毒な気持ちになりますが、発注側からすれば「社内規定で相見積必須なんやからしゃーないやん」という感じでしょう。お互いにとてもつらい状況です。

なによりも時間の無駄です。

相見積が必要ならそういってよ

そこで、元も子もないのですが、私が思う解決策は「相見積が必要ならそういってよ」です。

提案依頼をするときに「これって実は当て馬目的のアイミツ案件なんすよー」と、ぼそっとつぶやくのは、失礼なことでもなんでもありません。

それは、とても誠意に溢れた対応です。

「当社はご依頼をいただければ指値で相見積を発行します。角印も押します。発行手数料は1万円です。いい感じの提案書がほしいのであればそれも作成します。役員プレゼンが必要ならそれもやります。提案料は15万円です。」みたいな割り切りで、もうよくないですか?

労働者不足が叫ばれる昨今、そのなかでも人手不足が顕著な業務システムの業界で無駄に提案書を作るのも嫌ですし、お互いにしょうもない駆け引きをしている時間は発注側受注側双方の関係者全員にとって最高に無駄です。

そして、その構図にぶら下がるしょうもないコンサルやSIerは本当にしょうもない仕事をしていることを自覚すべきです。

合理的に仕事しましょうよ。まじで。

まとめ

・・ということで、個人的には新卒で就職した20年くらい前から「もうやめましょうよ、こういうの」と思っています。ただそれだけ。

Published On: 12月 14th, 2024 / Categories: Non-Technical / Tags: /

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